AQUARIUMと愛のうたをめぐる冒険

AQUARIUMと愛のうたをめぐる冒険

十六夜まよ(@daimarco16)がおんがくを考えるところです

イカロスの翼~太陽に近づき過ぎた男が灼かれて堕ちた話~

ギリシャ神話のエピソードの1つ、「イカロスの翼」。皆様はご存知でしょうか。

背景や設定を全て説明すると長いので要点だけ述べると、「鳥の羽根をロウで固めた翼で空を飛んだイカロスが、調子に乗って高く飛びすぎた結果太陽の熱で翼が溶け、落ちてしまった」というお話です。

身の程を弁えずにあまりにも高望みをする者への戒めとして引用されることが多いと思います。

 

 

まあそんなことはどうでも良いのです。

 

皆様こんばんは。十六夜まよです。

もうかなりの時間が経過し、需要はあるのか?とも思われますが、一度やってみたかったことなのでイベント参加レポなるものをやってみようと思います。

記憶の風化が激しいためトークパートのボリュームは少なめですが、音楽を語るこのブログのテーマに逆らわず、ライブパート感想多めで参ります。

 

 

●SAPPORO

来る12月9日・10日に行われた、ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursクラブ活動 LIVE&FunMeeting~Landing action Yeah!!~」札幌公演に参加してきました。

地元から夜行バスに乗り、揺られること約5時間、到着した時にはまだ朝の5時半でした。

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バスから降りると丁度さっぽろテレビ塔が見えたので撮影した1枚。少しだけ雪も降りましたが、概ね晴れていて過ごしやすい気候でしたね。

久々の札幌でテンションが上がり、地下に潜ったり地上に出たりして散歩しているうちに会場のコトリニトリ文化ホールへ。勢いで物販の整理券配布待機列に並んでしまいましたが、今にして思えばあんなに無理する必要なかったですね。ひたすら寒い思いをしただけでした。慣れているとはいえ、-7℃の寒空の下2時間程度棒立ちは流石に冷えます。

あれだけ事前に「防寒しっかりね!」なんてドヤ顔で関東の人へ言っていた癖に、自分は持参したヒートテックを未装備のまま列に並ぶという舐めプ。

さむい!さむいです!ここにバカな道民がいます!!!

 

なにはともあれ物販も終わり、無事会場限定ブロマイドとルビィの生首を購入。

生首、ダイヤさんだけのつもりだったんですけど8話9話がエモすぎてやっぱり姉妹揃えたくなっちゃいました。オタクあるある。

ブロマイドは10枚中5枚が伊波杏樹さんという謎の推しっぷりを発揮して満足でした。サイン?そんなものあるんですかね?

 

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今回、地元ということでアオめがねさん(@aomegane0919)主催のスタンド企画にも参加させていただきました。

ツリーの形にまとめられた花と、それを彩るイルミネーション。そして9人……かと思いきや11人の可愛いポップ!

鹿角姉妹が採用されていたのは本当に嬉しかったですね。素敵な企画をありがとうございました。

 

 

●入場~開演

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宿で身を清め、荷物の準備をして再び会場へ。

ライブ前の雰囲気って好きなんですよね。なんかこう、血が冷たくなるっていうかさ……

これからすごいものが始まるぞ!っていう期待感と、ちょっとした緊張感と。興奮と謎の冷静さが入り交じった不思議な感覚を覚えながら、ペンライトの点灯確認をし、携帯電話の電源を切り、余分な荷物は鞄にしまい、タオルを取り出す。

何度も経験する直前の準備ですが、隣にいる人や目の前の景色、流れる音楽、会場の温度や匂い……そういった5感全てに感じるその瞬間、一期一会の空気を味わいながらドキドキが加速していく高揚感は、誰しもが味わったことのある心地良い緊張だと思います。そんなところも含めて、ライブイベントへの参加って、好きです。

 

そうこうしているうちにアナウンスが流れ、スピーカーからは聞き慣れた3人の声が。私が参加した初日は3年生、2日目夜は1年生による注意喚起でした。

1年生組のアナウンス、途中明らかに台本とは違うとちり方をしたルビィの声が聞こえ、「あ、やややっちゃったー!やっちゃったー!」と一瞬素に戻っていた降幡愛さんが最高に可愛かったことだけを覚えています。

 

ちなみにこれただの自慢なんですが、大変幸運なことに、初日は2列目ドセンターという素敵な席で参加させて頂くことができ、スクリーンを見ずともしっかりとメンバーの表情が見える場所にいることができました。眼福です。

 

そして、いよいよ客席が暗転し、夢の時間がスタートします……。

 

 

●OP~挨拶コーレス

まずは「Landing action Yeah!!」の1コーラス版に合わせて、Aqoursの登場です。

最初に目に入ったのは衣装。1年前、豊洲で初めてAqoursを生で観た時の、あの「ジングルベルが止まらない」の衣装です。
今回はセトリに入ってくるだろうと予想はしていましたが、衣装までこれで来るとは思っていませんでした。ケープでモコモコして見えるんですけど、その下の胴体部分がウエストに合わせてキュッと締めてあったり、実はノースリーブだったりと結構見どころの多い衣装だと思います。白と赤の色使いがTHE・冬!で、札幌の地で再びあの衣装を纏うAqoursと再会できたことには感謝しかありませんでした。

クリスマスミニライブの段階では下に「君のこころは輝いてるかい?」の衣装を着込んでいる早着替え対応版だったため細部がありませんでしたが、今回は完全版。素敵でしたね……。

曲の中、ひたすら観客席へ手を振ってくれるAqoursメンバー達。

散々言われていることではありますが、改めて

待ってるだけじゃ伝わらない だから……来たのさ!

という歌詞の素晴らしさを噛み締めて、生まれ育った北海道の地でAqoursを迎えることができたこと、「会いに来てくれた」ことに感謝しまくる瞬間でした。

 

恒例の挨拶では突如「したっけ!」(それじゃあね、的な別れの挨拶)と爆弾を投入する逢田さん(今年の目標は「知らない言葉を迂闊に使わない」)や、何故か「未来だべー!」とスタートする小林さん(高槻さんはそれを受けて膨れ面でした)等、北海道方言を取り入れてくれたコーレスが。ご当地イベントって感じがして良かったですよね。

毎度お馴染み諏訪さんのハグロシアンルーレットですが、札幌では安定の鈴木さんロックオンで、メインMCとなる鈴木さんを安心させようという彼女なりの紳士な気遣いが感じられてほっこりしました。

2日目はこの先で紹介されたさらなる「ご当地コーレス」が実際に使われ、会場は大いに盛り上がっていました。なまらイイ感じ!

 

Aqours MEETING

Aqoursが着席し、まずはおたよりのコーナー。

何例かご当地挨拶が紹介されましたが、個人的には「したからヨハネっしょ!」の後にツルッと滑る小林さんのアクションがコミカルで可愛かったです。

そして圧倒的存在感を発する「のぼりべつクマ牧場」のCMトーク

の・ぼ・り・べ・つ!と言えば、ク・マ・ぼ・く・じょ!*1……なんすよね。

www.youtube.com

鈴木愛奈さんはその後のラップパートまで歌っており、流石道民……となっていました。無駄に上手いのがまたあれでした。

画伯イラストのコーナーでは、初日が「自分のキャラが○○怪獣だったら」、2日目夜は「左隣の人のキャラを雪像にするとしたら」というテーマで、逢田さんがいつものように文明発掘していたのは良いのですが、降幡職人の相変わらずの画力に目を奪われっぱなしでした。飴くれぇ~であの凶悪な形相は反則です。
2日目夜、席順の関係で逢田さんがルビィを描くことになったのですが、それを受けて「えっマジで!?」とガチ困惑していた降幡さんも素敵でした。そんな降幡さんはダイヤお姉ちゃんの裸体(時間が足りなくて服が描けなかった)を書いていたのですが、透明感あるシンプルな美しさはまさしく雪像で造られた芸術作品という感じでしたね。

ちなみにさっぽろ雪まつりでは一般参加の枠も存在するので、我こそはという人は彼女達の描いた「雪像」の再現に挑戦してみては如何でしょうか?

 

●なりきりAqoursのやつ

コーナー名うろ覚えです……。

くじで決めたキャラを演じつつ、お題を達成するという所謂「演技のお時間」亜種。
初日は布団から出られない人を起こす、2日目夜は3人でのデート、でしたね。

個人的にはダブルでルビィを演じる伊波さんと降幡さん、そしてさらにルビィを演じる小宮さんの、それぞれの演技力が垣間見えるところはエンターテインメントだなぁと思いました。

伊波さんのルビィは目の前に本物のルビィがいるので忠実にそのトレースを行い、本当に2人ルビィがいるかのような感覚(若干やかましい)でしたし、一方小宮さんは一歩引いた及び腰で初期設定に近いルビィを再現しており、彼女なりの役の落とし込みが既に完了しているのだと感銘を受けました。

2日目夜のデートは伊波さんの演じる曜ちゃんの声色が完全に「渡辺曜」で、声優としての底知れないポテンシャルを感じる一幕でした。結局ツッコミ役に回ってしまうあたりも、リアルに曜ちゃんだったなぁと。

 

●褒めフェス

コーナー名は完全に違います。

回答者・鈴木愛奈さんの「良いところ」をメンバー皆に聞いた結果を公開し、途中で伏せられる部分を当てるというもの。これ冷静に考えると本当に恥ずかしいですよね……。「この子は自分のこういうところが好きなんだ」って思っているところを自分の口から言わせるって相当です。いいぞもっとやれ。

「歌が上手い」「笑い声が好き」「エビは虫」等の意見が上がる中で諏訪さんの回答が空欄に。

ここですわわ持ってくるあたり運営解ってるよなあ……と思いつつ、どんな答えだ?と想像していましたが、あいにゃの答えた「笑い方」「笑顔」「身長」「バカなところ」は悉く外れてこの時点で鈴木さんは恥ずかしさで撃沈。画面外で終始にっこにこの諏訪さんとの対比が愉快でしたね。

最終的に諏訪さんがビシっと「全部!」とキメて鈴木さん完全敗北。真っ赤でした。ついでに我々も撃沈。可愛すぎたんですよね……。

 

●利きハグ選手権

2日目夜はこれでした。大阪レポで見て、「ずるぅい!私だって利きハグ観たいのに!」ってなってたやつです。生で観られて良かった。

回答者は小宮さんで、本命は高槻さん。ダミーは逢田さんと降幡さんでした。

進行役の逢田さんが「じゃあ1人目のダミー……」と口走ってしまい、「ん、1人目はダミーなんだね」となる中、裏をかいて1人目に本命の高槻さんを投入する謎の高度な心理戦。いやズルいでしょ笑

身長で悟られないためにしゃがむ高槻さんと逢田さん、反対にめちゃくちゃ背伸びして頑張る降幡さんが本当に可愛かったです。

結局「2人目」と答え、結果は不正解。3人目が誰だったか、という話題に対し、「いい匂いがした」「めっちゃ背伸びしてたからちっちゃいやつだ!」と言いつつ最後まで降幡さんを当てられない小宮さんに「気付いてよお姉ちゃん!!!」と地団太を踏む降幡さんが最高にキュートで黒澤姉妹うわーいって感じでしたね。ありがとうございました。

トークコーナーの記憶はこんな感じでしょうか……。もっと色々「これ終わったらレポとして上げるぞ!」と思っていたことがたくさんあるはずなのですが、この後のライブパートと、お見送りで私の記憶は彼方に吹っ飛ぶのでした。

 

 

●ライブパート

「OP」

一旦捌けた後、いつものオープニングムービーに乗せて順に登場するAqoursの面々。

この登場時の各個人のダンスは1年前のクリスマスミニライブと同じだったように思えますが、指先までの感覚や表情、動きのキレなんかが格段にキリッとしており、数多の本番ステージを乗り越えてきた経験値の蓄積が伺えます。

登場順は千歌梨子果南ダイヤ善子花丸鞠莉ルビィと並ぶ、所謂「出席番号」順。ラブライブレードのデフォルト順でもあるので、この並びのものを1本用意しておくと色変えがスムーズです。

そしてメンバーが出揃い、1曲目のフォーメーションへ。中央に佇む伊波さんの表情が引き締まります。

 

未来の僕らは知ってるよ(TVsize)」

ホンキをぶつけ合って--

冒頭の千歌パートの始まる直前、覚悟を決めて吸い込む伊波さんのブレス音が大好きです。
CLUBReportの動画で、T-SPOOKの舞台直前の様子が映っていたものがあったのですが、その中で舞台に挑む伊波さんは、ずっと一人でこのフレーズを繰り返し練習し、呼吸を整えていました。
大切な曲の、大切な歌い出し。ソロという重圧がかかる中で高海千歌として歌声をコントロールしつつ、伸びやかなスタートを切る。これがどれほど大変であるかは、規模の違いはあれどステージを体験した者として少しは理解しているつもりです。

そんな緊張が感じ取れる僅かな間のブレスも束の間、歌い出した瞬間に彼女は本当に彩り豊かに、毎週何度も観ている"あの"ステージをその場に生み出すのです。

全員が加わって「未来を!」と歌い、イントロに入る頃には緊張感などどこぞへ吹っ飛び、周囲からは、勿論自分の喉からも「ハイ!ハイ!」といつもの2・4コール。

ライブだなぁ、と。始まったなぁ、と。少し遅れてやってきた肌のざわつきを抑えるように、初手から全力で声を上げました。

フルでの「I live! I live LOVELIVE days!!」は3rdツアーへの楽しみにしつつ、ラストの「We got dream!!」を高らかに会場全体で歌い上げ、次の曲へ。

 

「ジングルベルが止まらない」

高揚感と熱気を引き継いだまま、次の曲のイントロがかかると会場はさらにヒートアップ。1年ぶりにこの曲が帰ってきましたよ……!

衣装が完全版となっており、ダンスパフォーマンスも、歌声も1年前とは比べ物にならない完成度。曲の雰囲気に合わせて眩しすぎる笑顔をぶつけてくるAqoursのメンバーにつられて、きっと私も最高の笑顔でいられたと思います。

サビに入る直前の「Yeah!! Happy Christmas!!」で全員が中央に集まり、「皆もおいでよ」と言わんばかりに両手を広げたポーズで一瞬静止する、あのちょっとだけ「曲が緩む」感じ、たまらなく好きなんです。

大事なときはいつも 一緒に過ごしたいから

この大切なひとときを、同じ土地で、同じ空間で共有できる喜びは、ファンミーティングというイベントならではで……。サビの歌詞が沁みました。明るい曲なのに、ちょっと目が潤んでいたのを覚えています。

 

~MC~

給水しつつ、簡単なMCへ。2曲連続で演奏を終え、疲れているはずなのに、水を飲んだ途端にそそくさとセンターに戻り、リズムを作りながら身体を動かす斉藤さんが全身で「楽しい!」と言っていて、しゅかはしゅかなんだなーって思っていました。トーク中何かの話題で腕の筋肉見せてましたけど、あの人本当にアスリートなんだなぁって。体力おばけってやつです。

「ライブはまだまだ始まったばかりだよ!」という鈴木さんの号令で、ステージは次の曲の準備へと入ります。

 

「聖なる日の祈り」

こっちも来てくれるって信じていました。

それまでの熱狂とは一転、バラードとなり会場は優しい空気へと変わりますが、熱量そのものは冷めるどころか加熱を続けます。

じりじりとレガートに響くメロディラインと、豊かなコーラスパートとの掛け合いが見事なバランスで混ざり合い、3拍子系の心地良いリズム感と包み込まれるような暖かい曲調と合わさって、ホール全体が幸福の波動に包まれました。

Holy night 祈りのことば 
ふいに(ふいに) こぼれてきた
しあわせがキミと (キミと共に)
ありますように

Aqoursのライブの魅力は、コーラスパートもしっかり生歌で演奏してくれるところだと思っています。普通、こういう曲のコーラスは録音だったりするものですが、彼女達は当然のようにパート分けし、全パートを歌い上げます。

分かれるパートに対応して振り付けも分担され、サビの「Holy night」に1拍遅れて入るコーラスの「Holy night」を歌うメンバーは振り付けも1拍ズレてきます。

その折り重なる声とダンスの立体的な交差は、より響きに深みを持たせてくれました。

アニメ8話9話を視聴したタイミングでこの曲を聴けたことは私の感性をより豊かにしてくれましたし、9話のメッセージ性をさらに感じ取るきっかけとなりました。

優しい祈りと祝福は、今も胸に消えず残っている気がします。

 

 

「待ってて愛のうた」

待ってたよ、愛のうた。

何を隠そう、わたくし十六夜まよはこの曲が一番好きです

未だ恋へと辿り着かない無垢な少女たちの、恋に恋する未達のラブソング。

内浦の、決して都会とは言えない土地で、恋を知らない女子校の生徒たちが、教室で、屋上で、そして浜辺で口にする愛のうたとは。

この曲の背後に見え隠れする、大きな憧れと少しの不安と、秘めた情熱は、至上のバラードとなって私達の耳をくすぐります。

待っててくれるかい? もっとステキになりたいよ
恋はまだまだ 謎に満ちた遠くのパッション

今はまだ自分に早いと自覚しながら、確実に未来にはその気持ちを受け入れ、自分のものとする覚悟と決意。知らないながらもその片鱗を感じ取り、少女から大人の女性へと覚醒を遂げようとする、その直前の焦れったさ。

客席からステージへと響くハンドクラップは寄せて返す波のようで、微妙な乙女心を唄う彼女達の表情は、それでも遠くの期待を知る、美しくも儚い「女性」の顔でした。

降幡さんが以前、「待ってて愛のうたのソロパートがルビィからのスタートで、『愛』という単語で歌い出せるのが嬉しくて泣きそうになる」と語っていた記憶があります。

Cメロの連続ソロパートは私が一番好きな部分です。ここで情感豊かにソロを歌う彼女達は直に心を掴み、揺さぶってくるのです……。そんなの無理じゃないですか。

愛のうたの響きは
優しく悲しいんだね
なぜかは知らずに
ねえ胸が痛いよ
愛のうたの香りは
潮風より青くて
もっと確かめたい香りさ

降幡さんが、「愛」を紡ぎ始めます。この声色はルビィよりもきっと降幡愛本人に近くて、「愛のうたの響き」が感情と一緒にモロに乗っているのだと思います。冒頭、「あ」の前に少しだけ「ぅ」と入る閉口母音の処理がルビィらしくもありつつ、それでも特有の幼さが残らない、凛としたソロはやはり降幡さんの歌声なのかと。
次いで、小宮さんがその響きに優しくも悲しい色をつけ高槻さんがハッキリとした子音処理で明朗に受け渡しを行います
諏訪さんはそれを受け止め、切ない痛みを感じながら鈴木さんへリフレイン
再び名に「愛」を冠する鈴木さんが香りを朗々と歌い上げると、斉藤さんの素直でまっすぐな歌声が「潮風」の語とともに涼感を呼び最後となる小林さんはライブ特有の丁寧かつ大胆なダイナミクスでフレーズをぎゅっと抱き締める。「香り」を彼女が再び歌うのは、「愛香」の名前故でしょうか。

とにかくこのソロパートに、憧れと情熱と未知への不安と期待と……全ての感情が詰まっているように感じます。

生で聴けて、本当に良かった。

この後休憩となり、Aqoursは一旦下がるのですが、その間放心状態となり、気付けば次の曲が始まっていました。

 

 

青空Jumping Heart

事前に聞いていたセットリストとは既にパターンが大幅に変更されている状況で、予想できない次に飛び出してきたのは始まりのメロディでした。

思えばこの曲も1年前のクリスマスミニライブではTVsizeでの演奏で、それが今ではAqoursを代表する定番曲として、安定のパフォーマンスを見せているというのが感慨深いですよね。

夢をつかまえに行くよ どんなことが
起こるのか分からないのも 楽しみさ!

サビの最後、人差し指を前方に突き出してクイッと持ち上げるあの振りが大好きで、Aqoursに合わせて一緒に動いたりするのですが。

指を指した先に、彼女達は何を見据えるのか。1年前と今とで、観ている景色は違うのか、同じなのか。そんなことを思いながら彼女達の視線を想像すると、きっとそこにあるのはいつも変わらない、まばゆいサイリウムの光。

今年1年、様々な場面でこの曲を演奏してきたAqoursがこの光と一緒に成長を遂げてきたのだと思うとこみ上げるものがあり、途中から声が枯れていた気がします。

記憶が定かではないのですが、このあたりから視線は降幡愛さんに固定されていました。どうにもステージでぴょんぴょん動き回る彼女の一挙手一投足が気になって仕方なかったようです……。

 

 

君のこころは輝いてるかい?

青ジャン終了からの、円陣フォーメーション。うん、その並び方知ってます!

アニメ2期3話を通して新たな文脈が追加された、もう一つの始まりのメロディ

今…
みらい、変えてみたくなったよ!
だって僕たちはまだ 夢に気づいたばかり

ここで円陣の中央に向かって一人ひとりが手を伸ばしていく振り付け大好きなんです。Aqoursという存在そのものの、内なる「こころ」の方へ輝きを求めて伸ばす手が重なって1つになるような、「Aqoursが生まれる」、そんなイメージが走り抜けていく気がしています。

客席側も、一番多くの演奏の機会があった曲として、一糸乱れぬコールで応対します。

この曲の2番歌詞、

君はなんども 立ち上がれるかい?
胸に手をあて "Yes!!" と笑うんだよ

という部分、本当に好きなんですよね。倒れるような場面でも、何度も立ち上がって。胸に秘めたその輝きを握りしめ、そんな逆境でも「笑う」という不敵さ。

逆境の中で戦い続けるAqoursの根本の強さが光り輝いていて、本当に勇気をくれるフレーズだと思います。

そして落ちサビのちかりこソリ

この日のハーモニー、今までのどの演奏よりも2人の声が調和していたように感じました。
正直、本番で火がつくと伊波さん・逢田さんともに主張が強いタイプの発声へと切り替わっていく(それ自体は悪いことではない)ため、ライブ後半でのこの2人のソリは決まりにくいと思っていました。個人の技量が上がる度に完成が遠のくというのは残念だと思っていたのですが、今回、初めてと言っていいくらいに揃いました。

絆のユニゾン

イヤモニの存在のため互いの声が聴けない状態で、ハーモニーを揃えるためには互いを信頼するしかありません。普段の練習量もやはり多いのでしょう。だからこそ、本番で力が発揮される。きっとこの先も、2人のセンターは際限なく進化を続けるのでしょう。

この曲の真の完成は近いです。

 

 

「少女以上の恋がしたい」(投票による選択枠・1日目)

投票の中身はまさかの

恋になりたいAQUARIUM
HAPPY PARTY TRAIN
・SKY JOURNEY
・少女以上の恋がしたい

という、企画者潰しの残酷な選択肢。

散々悩みましたが、未だライブ音源では存在しない、"最後まで全員で歌う"「少女以上の恋がしたい」を生で聴けるという魅力には抗えなかったです。

この曲のパート分け、実はデュオトリオで分かれているため、デュオトリオ芸人*2である私はそういう観点からも外せませんでした。

結果は大正解。プレミアって言葉、大好きです

会いたいからきっと (次は)
触れたくなる (あなたは少年のまま?)
会いたいからきっと (次は)

最後のこのパート、まるまりこの3人が担当なんですけど、埼玉では「夏への扉」のためにこの3人が捌けていたわけです。今思うと大胆な演出ですよね。

逢田さん、高槻さん、鈴木さん、3人共がこの日1,2を争う伸びやかなソロを披露し、ずしっと踏みしめるような濃厚な響きを鼓膜に叩きつけてくれました。歌声に包まれる感覚はここのソロが一番強かったかもしれないです。

 

HAPPY PARTY TRAIN(投票による選択枠・2日目夜)

この日のお昼に恋アクが歌われたということで、空気を読んで実質2択でした。

SKY JOURNEYとも勿論迷ったのですが、単純にHPTが好きだったためこちらを選択。僅差で決選投票までいきましたが、結果この曲が選ばれました。

ソロパートの多いこの曲ですが、冒頭の諏訪さんの入りは活き活きと快活で、弾む気持ちが乗った最高の滑り出しでした。彼女なりに、この曲をモノにしてきているような気がします。
果南パートが決まると相乗効果で後続が一気に盛り上がるのがこの曲の特徴で、続く小林さんはライブ派の面目躍如と言わんばかりにガツガツと表現を膨らませ、勢いに乗ったまま高槻さんは相変わらずの美しい子音処理で列車を更に加速させてくれました。

この日はそれで終わりません。ファン企画の「果南レール」は恐らくしっかりと再現されたのでしょう(席が前方で後ろの様子がわからなかったです)。落ちサビの難しいところを歌う諏訪さんの声が、いつもよりも感情豊かに飛んでいた気がしました。テンションの高まりで歌声がさらに弾み上がり、それがまた観客のボルテージを高める、幸せな循環がそこにありました。

それはいわば幸福の蒸気機関。まさにHAPPY PARTY TRAINだったのではないでしょうか。

 

 

「Landing action Yeah!!」

そしてプログラムはテーマソングであり、最後の曲である「Landing action Yeah!!」へ。

合唱って、いいんですよ。声を重ねるというのは心を重ねるということです。響きを合わせるには、呼吸のそのタイミングを揃えて、ステージに立つ仲間と同じ目標へ向かって同時に吐き出すしかないんですよね。

メットライフドームのような広い会場ではなく、2000人規模の小さな箱だからこそ残響による音のズレは無く、全員の声を揃えることができたニトリ文化ホール。あの時、会場の2309人は、ステージ上とか客席とかいう垣根を超えて、ひとつの個として息が揃っていたように感じます。

サビに入ってからクラップのあと、「ここにおいで」の時に手招きする動作を上下に繰り返すところがありますが、Aqoursメンバーは人によってタイミングが違うんですね。誰かが上の時には、誰かが下に、互い違いに動くんです。
客席の我々は、それぞれの推しの動きに合わせる傾向がありますね。そうすると、会場も自然と互い違いに、呼吸を揃えながらバラバラの動きをするんです。

合唱だけでなくて、パート振り分けをしたダンスまで、一緒にできるというこの仕組み。ただのライブイベントではない、ファンミーティングって感じがして私は大好きです。

振りコピとか恥ずかしい……と思っているそこのあなた!次の機会では一緒にやってみませんか?

 

そんな本当に「楽しい!」雰囲気の中、終わりを迎えるイベント。心地良い疲労感と、周りの同志の満足げな顔とでなんとなく自然と笑顔になります。

荷物をしまい、コートを着て、ではさようなら。

 

とはならないのがファンミーティング。最後のイベントが待っていました

(以下、文体が乱れます。お見苦しい点がありましたら申し訳ありません。)

 

 

●太陽に近づきすぎた男が灼かれて堕ちた話

実を申しまして、わたくし、声優さんとの接近戦は今回が初めてでした。

そもそも地方に住むオタクがお渡し会や握手会的なライブ以外のイベントのために遠征している余裕は無いわけで、必然的に参加するイベントはライブ中心、他は自宅や職場で指を咥えて見ている。そういう人生だったのです。

そんな折にやってきたお見送り。噂ではかなりの近距離で、ちょっとした挨拶なんかもできるというではないですか。

直前まで、私は様々なことを考えていました。

「あんちゃんに感謝を伝えたい」

「あいにゃに同郷の喜びを伝えたい」

「黒澤姉妹推しとして、ふりりんとありしゃにオッレィ!してもらいたい」

「ありしゃにダイヤ推しであることを伝えたい」

「ふりりんにEnjoy!!」

「ありしゃにぶっぶーしてもらいたい」

「オッレィ」

「がんばルビィ」

「オッレィ」……

その全部が出来るわけもなく、なによりはちゃめちゃに緊張している状態で正常な思考ができるわけもなく。

規制退場のアナウンスに従って客席から通路に出て、誘導されるがままに壁に沿って進みます。

で、ふと見るとそこにAqoursがいるんですよ。どうやらAqoursは実在します

もう頭真っ白で、とりあえず引っ張り出した言葉が「ありがとう!」これが限界。

と、思ったところで、目の前にいた人が降幡さんに「がんばルビィ!」していて、彼女からもリアクションがあって。それを見た瞬間にガツンと現実に引き戻された感じがして、必死に斜め後方にいる降幡愛さんの方を向き、多分結構な声量で

「ふりりん、オッレィ!(ポーズつき)」

炸裂しました。

それを見た降幡さん、流れるような動作で「オッレィ!」ですよ。

天使はいました。黒澤姉妹推しの私にとって、生オッレィなんてもうこの上ない福音です。

(なんか後ろの方でその日連番だったラジオ塔さん(@llscfg)の「モルディブ行きましょう!」って声が聞こえていましたが、その時はそれどころではなかったです。)

かくして、地方オタクの小さな野望は最高の形で叶えられました。

そこで終わっておけば良かったんです

 

2日目、運良く壁際の列に入ることができ、Aqoursに近いルートを通ることになりました。

昨日は降幡さんだったし、今日は伊波さんだ!って、そう思っていたんです。

で、角を曲がってふとAqoursの方を見たら、目の前にちょうどいるんです、降幡愛さん

あ、本当に小さい……うわ可愛い……みたいなことが頭をよぎった気がしますが、今回はバッチリ目も合ってしまって、笑顔で「ありがとうございました!」って言った、気がします。

それ言い終わっても、まだ彼女、こっちを見てるんです。だったら……と繰り出したのが

「Enjoy!できました!」

の一言。それ見て降幡さん、満面の笑みで「Enjoy!!」ですもん。返してくれました。

天使はいました。その瞬間、Aqoursキャストの中で僕は彼女が一番すきなのだ、と実感しました。どうやら本当に好きになってしまったようでした。

 

12月10日の出来事のレポを、何故今書いているのか。

そもそも9話の記事が何故あそこまで遅くなったのか。

天高く舞い上がった私の精神は、天使にご挨拶できたほどでした、が。

太陽-サンシャイン-に近づきすぎたためにその翼は不死鳥の炎に溶かされ、堕ち、身を焦がす恋慕の炎に灼かれることとなったのでした。

割と本当にしばらく他のことが手につかず、ぼけっと降幡さんのことを考える日々を送っていたため社会復帰が遅れた次第であります。

 

今後、Aqoursのファンミに参加される皆様。

お見送りは危険です……存分に注意されたし。

 

以上で私のファンミ札幌参加レポとさせて頂きます。

だらだらと書き殴った長い文章に、付き合って頂きありがとうございました。

*1:クマボクジョー

*2:デュオトリオシングルの曲考察記事あります。読んでね!