AQUARIUMと愛のうたをめぐる冒険

AQUARIUMと愛のうたをめぐる冒険

十六夜まよ(@daimarco16)がおんがくを考えるところです

Curtain Call:みんなが叶える物語

ーーみんなで叶える物語。

例えばそんなキャッチコピーをもつ、伝説となったグループがこの曲を唄ったのなら、タイトルは「WONDERFUL STORY」だったのかもしれません。

 

 

皆様お久しぶりです。十六夜まよです。

 

TVアニメラブライブ!サンシャイン!!が大団円を迎え、早くも2ヶ月近くが経とうとしております。

挿入歌に絡めて感想や曲考察をまとめていくこのブログですが、しばらく13話を真剣に考える時間を取れず、ズルズルとこんな時まで引っ張ってしまいました……が、そろそろ自分の言葉をまとめる時かなと思いやっと筆を執った次第です。

 

今回は2期第13話挿入歌

WONDERFUL STORIES Sounded by Aqours

2期最後の挿入歌となるこの曲について、感じたことをつらつらとまとめていこうと思います。

だいぶ時間が経ち、各々の中で第13話が、この曲が、そしてアニメ2期全体が整理され理解を深めている段階かとは思うので、新しい視点や奇抜な考察等は含まれていないと思いますが、お付き合いいただけると幸いです。

 

注)歌詞はいつものように下線と斜体で引用とします。

 

 

●STORIES

私が一番最初に気になった部分は、タイトルの「STORIES」が複数形であったことです。

勿論これは「STORY」=「物語」の複数形です。

つまるところ、「WONDERFULな物語"たち"」が唄われるこの曲ですが、この「物語たち」は一体誰の、どんな物語たちなのでしょうか。

まずは私なりに考えた数パターンの「STORIES」の解釈についてをまとめてみようと思います。

  1. Aqoursの物語
    グループとしてのAqoursが、これまでに辿ってきた"キセキ"。
    輝きに触れた千歌が自身も「輝きたい!」と始めたAqours
    実はこのAqoursには既に歴史があり、3年生が2年前に結成し、一度は夢破れ、そしてダイヤの働きにより再び動き出した物語。
    夏の大会では一度敗退するも、新たな目標を得て再度走り出したAqours
    初の決勝大会出場を決めるも、廃校を免れることはできず再び目標を失ってしまったAqours
    最後は浦女生徒全員の希望を繋ぐため、歴史に名を刻むことで「物語」を永遠のものとしようとしました。
    そして3年生の卒業を迎え、Aqoursのこの先は……?
    実はまだ終わっていないAqoursの物語は、それだけでも多くの場面、歴史を切り取ることができ、この数々の"キセキ"はそのまま「STORIES」だと言うことができるでしょう。

  2. Aqoursメンバーそれぞれの物語
    「スクールアイドルとして、輝きを目指しがむしゃらに駆け抜ける、9人の少女たちのストーリー。それがラブライブ!サンシャイン!!です。」
    浦ラジでよく耳にするこのフレーズは、そのまま「STORIES」の答えになっていそうです。
    勿論、1つの目標を目指し力を合わせているメンバーですが、ことAqoursに関してはその活動の中で各々が個人の自己実現のため、多くの葛藤や経験を通して成長を遂げています。
    特に2期に入ってからはその描写は多く、メンバーそれぞれにフォーカスした時に9人分の色濃い物語が展開されていました。
    Aqoursの活動を通して語られた、9人9色の青春の物語。これも「STORIES」となるでしょう。

  3. Aqoursの音楽の物語
    私は挿入歌について、過去の記事で「節目節目でその歌詞には意味があり、内容は物語に寄り添ったものである」としていますが、それはつまりストーリーの中で物語を象徴する大きなまとめであるということです。
    歌詞の中にも
    思い出からは 流れるメロディー
    とあるように、思い出(=物語)とメロディー(=挿入歌)は密接な繋がりがあります。
    そしてこの曲の映像では、過去の挿入歌の場面、衣装を1期からすべて挿入してくる、という超必殺技が炸裂しました。
    これまでのAqoursのキセキの中で、節目節目を飾ってきた挿入歌達が、最後のこの場面で一堂に会し、目まぐるしく画面を彩る光景はまさにキセキの共演と呼ぶに相応しく、それこそがAqoursが奏でてきた物語たち」なんだと言えます。

  4. "みんな"の物語
    そして、ラブライブ!サンシャイン!!を通して輝くのは、千歌達Aqours9人だけではありません。劇中に登場した浦女の生徒たちをはじめ、応援してくれた家族、そしてSaint Snowの2人、決勝のAqoursを見た少女たち等、Aqours以外の登場人物について、それぞれの物語がそこにはありました。
    さらにはキャストのあんちゃん達9人のAqours、楽曲のクリエイター陣や制作スタッフなどなど……現実世界まで広げると、そこには無数の輝きが存在します。極めつけは、私達ファン一同でしょうか。これまでのAqoursの輝きを目撃し、それぞれの形で自己実現を目指し、「輝きたい」と願う気持ちは、既にひとつひとつの「物語」として動き始めているはずです。そんな、輝きに触れたすべての人々の物語。これら全てについて素晴らしいものなんだよ、気がついてよ、と唄うこの曲は、まさしく「WONDERFUL STORIES」の名を冠するに相応しいのではないでしょうか。

 

冒頭で触れた、「μ'sなら『WONDERFUL STORY』だったのでは」という考えは、比較してどちらが良い悪いという話ではありません。

μ'sは、穂乃果は常に「みんな」との同調を大切にし、多くの問題は皆と分かち合うことで解決してきました。(責任感を一人で抱え込んでしまったために問題が起こったこともその一端だとは思います)

そうやって紡がれた物語は、μ'sが、そして地域の人々とが強く結びついて実現したひとつの大きな夢でした。それはまさしく「みんなで叶える物語」であり、「WONDERFUL STORY」と呼べるものでしょう。

 

一方Aqoursは、特に千歌は常に個々との対話を大切にしてきたように感じます。例えば1期第10話の梨子との場面、第11話の曜とのやりとり。

他のメンバーも3年生はそれぞれが悩みを抱えた時に別の2人が動く形でしたし、2期第8話ではルビィに対してダイヤだけが対応していました。

そして2期第12話の「勝ちたいか」を全員に問いかけるシーン。穂乃果だったら9人で会話し、「気持ちは一緒だよね」というようなまとめ方をするところを、千歌は全員と1対1で会話し、全ての想いを拾い集めていました。(直前の神田明神でのお参りのシーンも、願いをそれぞれが口にするというμ'sとの違いが印象的でした)

上記2.の項目とも関わりますが、Aqoursの活動の中でAqoursとして」とは別の形で、それぞれが「私はこうしたい、こうなりたい」という想いを持って、それぞれの輝きを求める物語が「ラブライブ!サンシャイン!!」だったというように感じているので、それぞれの想いを大切にする、というAqoursのスタイルは「みんなが叶える物語(達)」、即ち「WONDERFUL STORIES」と言えるのではないか、と私は結論づけました。

 

 

●千歌の「輝き」

そんな、それぞれの輝きを実現したい少女たちの物語で、主人公である高海千歌は、結局何を求め、何がしたかったのでしょう。

彼女の求めた「輝き」とは?という部分について、曲の内容ともリンクするので少しだけ考えてみようと思います。

    • 紙飛行機の件
      千歌の母と、志満、美渡がいる場面での会話で、「紙飛行機」に触れる部分があります。
      紙飛行機についてはOPの中や2期第1話の段階から登場しており、当初から何を象徴するものなのか、という考察は色々されていたように感じます。
      これが「自分の力で飛ばすもの」「自然には動き出さないもの」であり、夢や目標、輝きといった空へはばたくためには、最終的には自分の強い気持ちや胸に秘めた情熱のようなものを原動力としていかねばならない、という象徴であると私は感じました。

      それはさておき、この高海千歌という人物、やはりなかなかに大変な人生を歩んでいるように感じています。
      老舗旅館を切り盛りする夫妻のもとに生まれた、3人姉妹の末っ子ということになりますが……。
      長女はその手腕から女将の不在を預かる若女将と言える存在で、器量もよく常に周囲からの期待を受け、また本人も努力を伴いつつそれに応えてきたと思います。
      次女は多少ガサツなところがありながらも要領よく立ち回ることができ、竹を割ったような性格は人を惹き付け周囲の人間関係に恵まれているのだと思います。
      そんな2人の姉と共に育った千歌にとって、どうしても超えられない壁はこの2人だったのではないか、というのが私の考えです。

       以前Twitterにこの考えの元になる思考を投下していましたが、果南や曜の存在以前にやはり姉2人は「普通怪獣」を生む理由となり得るのかな、と。
      幼少期の遊びとして姉と一緒に作った紙飛行機、千歌のものだけ上手に飛ばない、長い時間飛ばせない……そんなことがあって、真っ先にやめるようなことがあったのではないか。
      美渡に憧れて「みとねえと同じことがしたい!」と始める習い事やクラブ活動なんかも、少し歳の離れた姉には敵わず、そして美渡も性格上千歌に容赦することは少なく……もしも千歌が普通以上に何かをできていたとしても、常にその上に立つ存在はいたのではないか、そんな風に思えてならないのです。
      これは志満や美渡が悪いという話ではなく、姉妹という存在の設定上避けて通れない構造であると思いますし、末っ子はそういうもの、とも思えます。
      私自身の経験上、どうしても弟妹には負けたくない、とか格好良いところは見せたいとか……守るべき存在であると同時に、やはり負けられないライバルみたいな感覚も存在しました。特に美渡に関しては、千歌との関係の中で図らずとも「敵」として君臨した次期は存在するのかと思います。
      そんな千歌のある種「敗北の人生」を親として見てきた彼女の母親は、やはり心配になるのでしょう。
      「紙飛行機の件」でも、今回のスクールアイドルの活動でも、自分ではどうしようもない壁とぶつかり、折れそうになった時に「今度は諦めない」という選択肢を娘が掴み取れたこと。それは親として本当に喜ばしいことであったのだと思います。

    • 歩いてきたこのキセキが、輝きだった
      そして千歌は結論を手に入れます。「輝き」はこれまでの自分の歩んできた全ての道にあった。そのものが「輝き」だった、と。
      ラブライブ大会を制覇し、得た喜びは、もしかすると期待していたものとは少し違ったのかもしれません。

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      「わかった。私が探していた輝き、私達の輝き。
      足掻いて足掻いて足掻きまくって、やっとわかった。
      最初からあったんだ。初めて観たあの時から。
      何もかも、1歩1歩、私達の過ごした時間の全てが、それが輝きだったんだ。
      探していた私達の、輝きだったんだ……!」
      曲の間奏でそう語る彼女の、この一瞬の表情が本当に印象的で、この瞬間についに千歌は自分の「本当にしたかったこと」に気付くことができたのだなぁ、と感慨深いものがありました。

      そんな彼女、もしくは彼女達が辿り着いた「輝き」の形はシンプルで、それが歌詞の
      本当は持ってたんだよ
      という部分に繋がっていくのだと思います。

      この「求めた幸せや夢、大切なものは、自分の手近なところにあった」という結論を得る物語は、俗に言う「幸せの青い鳥」理論だと思います。
      メーテルリンクのこの『青い鳥』は、「2人兄妹のチルチルとミチルが、夢の中で様々な国に幸福の象徴である青い鳥を探しに行くが、結局のところそれは自分達に最も手近なところにある、鳥籠の中にあった」という物語で、Aqoursの活動の中で鳥の羽が青に変わっていったことや、歌詞中の
      青い鳥 探してた 見つけたんだ
      でも カゴにはね 入れないで 自由に飛ばそう
      の部分等、モチーフだと見ることができる根拠は多いと思います。
    • 夢みたものは
      少し話が逸れてしまいますが、私の好きな合唱曲の中に「夢みたものは…」という曲があります。
      作詞立原道造、作曲木下牧子による混声4部合唱なのですが、私は第13話を観て、WONDERFUL STORIESを聴いた時にこの曲のことを強烈に想起しました。
      モチーフはこちらも「青い鳥」となっていることは想像に難くないですが、その上で歌詞の内容がだいぶAqoursのこととリンクするなあ、と、感動を覚えた次第です。
      本来、物語と無関係な曲や詩を持ってきて「似てますよね」という話はさほど意味を成さない……というか、様々な意味がそれぞれの音楽に含まれるのでそれをつなげることはこじつけに近いのですが、だからこそ「この曲は実質ラブライブ!サンシャイン!!なのでは」という考え方は面白く、他のアニソンやポップスからも「輝き」を見出している人が多く感じられたので、私なりの立ち位置からひとつの可能性を提示させて頂きます。
      名曲なので、皆様にも是非聴いて頂きたいです。

      『夢みたものは』
      夢みたものは ひとつの幸福
      ねがったものは ひとつの愛
      山なみのあちらにも しずかな村がある
      明るい日曜日の 青い空がある

      日傘をさした 田舎の娘らが
      着かざって 唄をうたっている
      大きなまるい輪をかいて
      田舎の娘らが 踊りをおどっている

      告げて うたっているのは
      青い翼の一羽の 小鳥
      低い枝で うたっている

      夢みたものは ひとつの愛
      ねがったものは ひとつの幸福
      それらはすべてここに ある と

      www.youtube.com

 

 

●誰のためのカーテンコール?

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それでは曲本編に入りましょう。

とはいえ、あまり語るべき部分は多くありません。ほとんどの要素はこの記事のここまでで触れてしまいました。 

スタートの調性は変イ長調で、これは未来の僕らは知ってるよ「WATER BLUE NEW WORLD」のサビと同じ調……平たく言えばラブライブ!サンシャイン‼」2期を象徴するメロディセットです。(本当にざっくりですが)

この曲の最大の特徴はそのてんこ盛り感といいますか、これまでの挿入歌衣装が全て登場し、めまぐるしく場面転換していくところですが、これがまさに私が「カーテンコール」と呼ぶ理由となっています。

 

カーテンコールとは、舞台などで演目が全て終わった後、役者さんが全員出てきて観客に挨拶をする、というものですが……これは「終演」時に行われる挨拶です。

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本編最後にこうやって幕が下りたため、それについて「Aqoursのカーテンコールだ」と考える人もいるとは思いますが、私は少し解釈が違います。

「STORIES」の項目でも触れましたが、これまでの物語を彩ってきた挿入歌達は、その映像と、衣装と共にありました。

Aqours9人は今後の劇場版等でまだまだ姿を見せることとなるため、言わば「出番がある」状態ですが、各挿入歌の衣装達はどうでしょうか。

アニメ2期を締め括るにあたって、1期から通して「曲の顔」として輝いてきた衣装達……これらは、十分に「登場人物」と呼べる存在ではないかと私は考えます。

そして、だからこそこの曲はその挿入歌達・衣装達にとっての最後の顔見せである「カーテンコール」なんだ、というように感じました。

常に挿入歌という名の物語達と共にあった物語。その締めくくりとして、またさらに先への展開として、今は一旦幕を下ろす。そんな意味を持たせるものとして、この演出は素晴らしいものだなあとただ涙を流すばかりでした。

 

●思い出からは流れるメロディ

蛇足かもしれませんが、順にその物語達を観ていきましょう。挿入歌と共にあったこのブログにとっても、それは必要な振り返りだと感じます。

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決めたよHand in Hand

まずこの段階でズルいですよね。

千歌と曜と梨子、3人が出逢うことで始まる最初の一歩の曲の再現を、9人で、しかも最後に「寄せ書き」を行った校舎をバックに行うなんて……。

あの時の桜が、今では180℃別の意味を持っていて、でもだからこそ先に進める。

いつもいつも 追いかけていた
届きそうで 届かない ミライを

この歌詞は、ただただ憧れて燻る、千歌の最初の心だったのでしょう。

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ダイスキだったらダイジョウブ!

だから だから 君に会えたよ
一緒に いてくれて ありがとう

梨子との出逢い、そして曜がいつも一緒にいてくれたこと。

その2人に支えられ、3人のAqoursは最初のステージを迎えます。

善子が変装してたり、ダイヤの足元に発電機があったりと、完全に当時を再現する芸の細かさ、大好きです。

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夢で夜空を照らしたい

足りないって気分 悔しかったんだ
もっと 欲しくなる
特別な何か 探す冒険
そして ここに来て
やっと みつけた!

「悔しい」という気持ちは、東京で「0」を突きつけられて、初めて手に入れた感情でした。

ここからAqoursが、Aqoursだけの特別な輝きを求める活動に入ります。東京のエピソードに合わせて初代Aqoursの姿がちらっと見えるのも、愛が詰まっていて素敵だなぁと思いました。

 

そしてサビです。

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未熟DREAMER

ここで未熟DREAMERを持ってくるのも本当にズルいですよね。

曲の冒頭、9人揃ってスタートするこの曲のサビメロディを、本サビのタイミングで「9人が初めて揃った曲」とリンクさせて展開する流れは鳥肌モノです。

主題である

本当は 持ってたんだよ
僕たちは みんな持ってた
胸に 眠る輝き めざめる前のチカラ

この歌詞をこの曲と、次の曲で1番のサビとして使う演出は、1期からこのアニメを愛してきた人たちにとってどれだけ感動的なものかは、この記事を読む全ての人が知っていることでしょう。

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想いよひとつになれ

まあ、今更私が何か言うことはないです。本当にありがとうございました。

本来のフォーメーションとは違い(いや、これが本来のフォーメーションなのか)、梨子のスペースがあること、1期11話に比べて客席のサクラピンクが満開であること等、この曲に付与された新たなストーリーが反映されているのは流石としか言いようがありません。

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MIRAI TICKET

リピートしてのサビメロディ2回目は1期のラスト、MIRAI TICKET

夢を 駆けて来た 僕たちの 物語

この「駆ける」という歌詞が本当にこの曲とマッチしていて、さらに腕を振って足を上げる振り付けがそれを強調しています。

サビ全般に言えることですが、この振り付けはなんとかコピーしてライブの時には一緒に踊りたいくらいですが、少々難易度が高いですよね……。

 

そして!

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「MY舞☆TONIGHT」

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「MIRACLE WAVE」

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「Awaken the power」

思い出からは 流れるメロディー
あたらしい夢が 聞こえる

怒涛の2期挿入歌ラッシュです。

音楽は、時に歌詞そのものと密接にリンクした表現がされることがあります。

例えば「冷たい」という歌詞で暗く低く響く音を出したり、「ノロマ」という歌詞の時には長い音符をじりじりと演奏し、鈍重な感じを出したりします。

「風」という歌詞に対しては途切れない、繋がった音を細く美しく繋いだり……そういった、歌詞と同じイメージのメロディを流すことでお互いが強調される手法があり、ここではそれが用いられているように感じました。

つまり、「流れる」というフレーズに合わせて一気に「思い出」となる2期の挿入歌たちを順に繰り出すことにより、流れる思い出=一種の走馬灯のような、駆け抜ける青春のイメージを歌詞以外の部分でも表現しているのがここのパートなのだと思います。

そんな「流れるメロディー」からは「あたらしい夢」、つまり2期からの新曲が「きこえる」という、詩と曲が多重に絡み合った濃厚な演出がこの数フレーズに詰め込まれています。

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「WATER BLUE NEW WORLD」

遠くへまた 行こうよ
DREAMING DAYS

最後はWATER BLUE NEW WORLDでシメ。完璧な流れです。

「ミライへ向かおう」と唄ったこの曲の衣装で「遠くへまた行こうよ」と、何度でも夢を見られるよと言ってくれるのは救われた感じがしてこみ上げるものがあります。

最後が「DREAMING DAYS」というフレーズで締め括られているのは、「WONDERFUL STORIES」と同じ意味なのかなという気がします。

 

●輝きのメロディ

間奏の千歌のセリフを挟み、曲はCメロへと展開していきます。

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青い鳥 探してた 見つけたんだ
でも カゴにはね 入れないで 自由に飛ばそう

前述の通り、ここで「青い鳥」という言葉が出てきます。

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大きな丸い輪をかいて、田舎の娘らが踊りを踊っているんですよね……。

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答えはいつでも この胸にある
気がついて 光があるよ

歩んできた道が、輝きだった。その言葉が、その全てがこのCメロに詰まっています。

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「光があるよ」の声とともに、Aqoursは天を仰ぎ、体育館の窓からは降り注ぐサンシャイン。まさに、といった感じで、そこからいよいよのクライマックスです。

 

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そうだね!

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本当は!

ここにきてサビのフレーズリピートからの転調ですよ!転調!

大好物です。本当にありがとうございました……。

そして、転調後の調はイ長調勇気はどこに?君の胸に!「WATER BLUE NEW WORLD」のクライマックスと同じ、前回の記事では「輝きの調」だと定義したメロディです。

「ラ」という音は、度々音楽の基本点となります。

例えばドイツ音名のABCD…はA(ラ)からスタートですし、楽器のチューニングに使われる基準ピッチはA440と呼ばれる、440Hzの音で、これがラの音です。

赤ちゃんが生まれて初めて泣く時の鳴き声は、世界共通でラの音なのだそうです。他にも時報がこの音だったり、サイレンだったり、響きやすくて耳で認識しやすい音だからなのでしょうか。

イ長調は、そんな「ラ」の音を基本とする、音楽の王道とも呼べるメロディだと言うこともできるでしょう。

「輝かしく確信と希望に満ちる。単純、純粋、快活。誠実な感情に適する」

と表現されるこの調は、まさしく「ラ」ブライブ!にぴったりで素敵な調性といえるのではないでしょうか。

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キーが上がって、本格的にクライマックスといった雰囲気のサビは、光溢れる校庭の風景も相まってとてつもなく大きな力を感じるものとなっています。

調性が同じなので当然といえば当然なのですが、「勇気はどこに?君の胸に!」でも感じるこのグランド感というか、世界の素敵な響きを全て内包しているような壮大で突き抜けるような高さの、青空と青い海のメロディはまさにAqours、といった感じで感動的と言わざるを得ません。

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ラストは虹の"輝跡"でシメ、と徹底しております。

本当に、キラキラしていて壮大な「物語たちの物語」となりました。

いつかまた はじまるんだよ
次の DREAMING DAYS

「次の」という部分に「終わりではない」という明確な意志が感じられて、希望に満ち溢れる終わり方が本当に大好きです。

 

 

●L

最後に、この曲の振り付けで私が一番好きな部分を紹介して終わりにします。

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いつかまた!で掲げられるこの指の形は、空を指差し上へ向かう紙飛行機の心を、

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それが前に向けられる様は「前へ進み続ける」意志を。

そして同時に折り曲げられる手首は「手招き」のようで、「あなたも一緒に」というAqoursからのメッセージにも見えます。

また、「L」の形は「ゼロからイチへ」進んだAqoursの精神そのものでもあり、ひいては「Love Live!」の「L」でもあります。

行進のようにテンポよく刻まれる伴奏に合わせてLの字にした指を徐々に下ろしていくこの振り付け、どう考えても「皆で一緒にやろうよ」って言われているように感じますし、私はこの曲が演奏される場面ではきっと一緒にやると思います。

 

輝かしく希望に満ち溢れたこの挿入歌でアニメ2期が終わりを迎えられたことは、本当に嬉しく思えますし、そんな曲の考察で幸せな気持ちでアニメ2期の記事を書き終えることができることは素敵なことだなぁと改めて感じます。

挿入歌は節目で物語を彩るものである、という中でカーテンコールとなったこの曲の立ち位置については、挿入歌というよりもエンディングテーマに近いものだとは思いますが、そもそもの主題が「これまでを振り返る」「ここまでの道程が輝きである」というテーマの曲なので、アニメ全体を振り返る形で幕を下ろす、最高の挿入歌であることは間違いないと思います。

 

といったところで、今回の記事を締め括ります。

放送終了後からかなりの時間が経ってしまいましたが、改めてアニメ本編を振り返りつつ、やっぱり感動的な話だったなぁと再度涙することができたので素晴らしい機会だったと思います。

 

今後の予定はしっかりとは考えていませんが、曲の考察ブログらしく、各曲を唄うそのメンバーの歌声に焦点を置いた記事なんかを書いてみたいと画策していますので、そちらの更新の際には改めてよろしくお願いいたします。

 

それでは、またの機会に!