5分間の輝きに魅せられて
皆様こんばんは。十六夜まよです。
今回はいつもとは少し趣向を変えて、ライブ現場の必需品とも言えるペンライトの話をしようと思います。
……とは言え、ラブライブレード等に代表される最近主流の電池式ペンライトではなく、高輝度タイプのケミカルライト……所謂「UO」についてのちょっとした小話です。
(7/29追記)
コメントで指摘があったので補足します。私本人のスタンスとして
「提示されるレギュレーションは遵守する」
ことはオタクとしてライブに参加する上での最優先事項としております。
注意書き等には必ず目を通しますし、マナーの話等もTwitter上で頻繁に行っています。
例えばAqoursのライブでは「著しくまぶしい高輝度タイプの大閃光やウルトラオレンジ等」の「使用を控えるお願い」がされており、過去様々な事由により、運営がそう判断し注意書きを出しているのであればそれには必ず従おうという考えでいます。
実際、Aqoursのライブにおいては禁止されている高輝度タイプのケミカルライトは使用せずグッズのブレードオンリーで参戦しています。
普段ラブライブ!サンシャイン!!について言及しているこの記事において多少の例外となりますが、この記事においてはAqoursのライブでの話を想定しておりません。
本文中でも触れますが、主にこの夏行われるAnimero Summer Live2018のことを念頭に置いています、ということを最初に明記させて頂きます。
●そもそもUOとは
UO=ウルトラオレンジ、という認識は大体オタクの中で共通のものであるとは思いますが、そもそも「ウルトラオレンジ」が商品名なのはご存知でしょうか。
アメリカのケミカルライト企業「オムニグロー」が生産し、日本オムニグロー社から販売されていた高輝度タイプのオレンジ色のケミカルライトが「ウルトラオレンジ」という名称で、これが当時とにかく最高に光る!ということで注目を集め、ペンライトと言えばUO、という風潮が出来上がったわけです。
が、この日本オムニグロー社はキンブレ革命*1を境に倒産してしまっています。
つまり、本当の意味での「UO」を手に入れるのは現在困難だったりするんですね。
ただ、現在は高輝度のオレンジ色使い捨てケミカルライトが総じてそう呼ばれており、別に「これは今までのオムニグロー社の努力と、オタクたちの善意があっての通称ですわ!勘違いしないように!」とか言いたいわけではありません。UOって呼べば良いと思いますし、この記事でもそれらを総称して「UO」と表記します。
●UO=厄介???
まあそんなUOですが、昨今のライブ現場では結構厄介者扱いですよね。
Aqours現場でもハッキリと「著しくまぶしい高輝度タイプの大閃光やウルトラオレンジ等」は使用を控えるよう名指しで注意書きに書かれてしまっていますし、実際ライブ後の感想等で「隣の奴がUO焚いてて眩しかった」「光害氏ね」「アリーナでUOぐるぐるしてたやついた」「光害は○んでくれ」等々……すっかり嫌われ者です。
勿論ルールでそう伝えられている以上、それを守るのがマナーですし、それを守れない人間がどう言われようと私が心を痛めることはないので関係ありません。
ただ、例えば今年も開催されるAnimero Summer Live、通称アニサマ等フェス系イベントでは特に制限はかかっていないため、使用される例はまだまだあると思います。
実のところ、そういう現場で焚かれるUOについてまで「厄介だ」と思われてしまうのは、少しだけ寂しいなというのが本心で、この記事を書こうと思ったきっかけでもあります。
私のフォロワーさんの中には20台前半の方も多くいて、例えばAqours以外の現場に行ったことが無いとかで「UOを折ったことがない」という人も散見されました。「何故そこまで折りたがるのか」という意見もちらちらと見ております。
そういう人に「UOは怖くないよ、楽しいものなんだよ!」と伝えたいなあと思ったのもきっかけの一つです。
※一応明記しておきますが、ルールで制限がない場合の話であり、前述の通り使用を控えるよう伝えられているAqoursの現場等での使用を推奨する記事ではありません。
ルールやマナーはしっかり守り、周囲への配慮を忘れず、愛と思い遣りを持って、皆が楽しめるライブ体験にしましょうね。
●何がそこまで楽しいものなのか
皆様が「特別」を感じる瞬間はどういう時でしょうか。
例えば長いテスト期間が終わり、夏休みに入った時。
例えば暑い日の仕事が終わった金曜日、明日から週末だという時。
そんな日に、「少し贅沢しよう」とか「景気づけに1杯飲もう」とか「豪華なディナーをしよう」とか考えることはありませんか?
はたまた、気合いを入れるために「特別」な行動で自分を奮い立たせることはありませんか?
例えば徹夜で何かをする時。
例えば少し嫌な取引相手と商談をしに行く時。
そんな時にエナジードリンク*2で強制的に身体を起こしたり、奮発したランチを食べて幸福度を高めておいたり。
実際はカフェイン等の効能よりも、「エナジードリンクを飲んだ」というプラシーボが仕事をしているのだという説もあるようですが、そういった「精神的なブースト」というのは大切な要素だと思います。
とにかく、「普段とは少し違う」瞬間に「特別な行動」をすることで人間の脳は満足したり、これから起こる出来事に対しての準備をしようとするのでしょう。
そして、そのどれもが大抵の場合「普段よりもコストがかかる」という部分にも注目して下さい。
●贅沢=気持ち良い?
前述した例で、大抵の場合「余分なコスト」がかかっていると説明しました。
贅沢をする時にどうやら人間の脳は何らかの幸福物質を出し、それによって楽しい出来事をさらに楽しんだり、逆に辛いことを軽減したり、そういう動きをしているのだと思うんですよね。
私はよく、ストレスを感じると「良いもの」を飲食します。
発泡酒じゃなくてビールにしたり、焼き鳥と牛丼とカツサンドの肉3種フルコースを用意したり、スープカレーの辛さをいつもの倍にしたり、ブランドモノのお高いアイスを用意したり……そういう程度のささやかな贅沢ですが、確実に幸せになれます。
ちょっと別の話で、「ソシャゲのガチャが楽しい」という経験はありませんか?
3000円の課金が数秒でデータに変わる。結果はどうあれ、その一瞬のドキドキに身を委ねるその感覚そのものが楽しい……といった危険な感情を持ってしまう人もたまにいますよね。
あれは究極の贅沢だと思いますし、だからこそなんらかの幸福をもたらす何かがドバっと脳内に出て、最高に気持ちよくなれるのかな、と考えています。
そう、贅沢=無駄遣いはキモチイイのです。
●時給1200円の輝き
なんかよくわからないエセ脳科学みたいな話になりましたが、話をUOに戻します。
1本100円、効果時間は5分間と雑に見積もり、あの輝きは時給1200円です。
それが高いと考えるか安いと考えるかは人それぞれですが、眩しく光る、それだけのためにかける金額としては贅沢な部類に入ると思います。
ましてや今日では1度購入すれば電池交換で何度も使えるペンライトが普及しており、それがスタンダードとなっていますので、そういう意味でも使い捨てのケミカルライトは贅沢品だと言えるでしょう。
つまり、UOを折るのは贅沢な行動であり、それをすると脳が「キモチイイ」と認識する(のかもしれない)のだと私は考えます。
●特別な時間を贅沢に
そして、「特別な時間」の話です。
前述した記念日だったり週末だったり、そういった特別な日の高揚感を、ライブ中に置き換えるとどうなるでしょうか。
「推し曲がきた」
「高まる落ちサビが来た」
「推しがソロを歌っている」
「なんか楽しい」
等々……こういった「特別な瞬間」に「贅沢な行動」を合わせることで脳内の幸福度はさらにブーストされるのではないか、と私は考えます。エナジードリンクを飲んでなんとなくハイになる感じです。
2年前の東京ドーム、μ'sfinalの「Snow halation」。
落ちサビ穂乃果ソロの所謂「スノハレオレンジ」の瞬間には、あの場にいた約5万人が平均2本(=両手に1本ずつ)のUOを折っていたと仮定して、10万本が折られている計算になります。
めちゃくちゃ身も蓋もない言い方をすると、あれは1000万円の輝きなのです。究極の贅沢であり、それは究極にキモチイイ瞬間だったことでしょう……(ドーム不参加勢)
推し曲や落ちサビの気持ちが最高潮になる時、贅沢な輝きを燈し一心不乱に叫ぶ。
アニソンライブにおける「応援」の形として、一つの極致になっている行動であることは説明の余地はないかと思います。
●刹那性の価値・有限性の「輝き」
私が愛してやまないアニメである「ラブライブ!」シリーズでは、「スクールアイドルの有限性」がテーマとして大きく存在しています。
高校生活の限られた時間の中で精一杯のことをするからこそ、魅力的に輝くことができ、その瞬間を愛することができる。「Love Live!」なんですよね。
UOも同じだと思うんです。
一瞬の「特別」。
5分間という限られた時間の中で……
その曲が大好きで。
サビのフレーズが大好きで。
推しの歌声が大好きで。
歌詞の中身が大好きで。
(中略)*3
ライブが、大好きだったから。
自分の「好き」を最大限発散させるために、贅沢をぶつけて脳内物質をフルにブーストして感じる「楽しさ」の究極形。
それが「UOを折る」ということなのかなと思うのです。
最後にくどいようですが、ルールとマナーは守りましょうね。
使い終わったUOは、会場によって決められたゴミ箱か、もしくは自分のカバンへ。会場へ捨てていくなんて、あなたは最低です!
しっかりと握り、ぶっ飛ばすことの無いように。客同士で痛い思いをするのも勿論ダメですが、あろうことか演者に向かって投げられたために使用が禁止された例もあります。
眩しい光が視界を妨げることも、まああります。周囲の人に「使わないで」と声をかけられたら、素直に使わないのがお互いのためだと思います。
アニサマでは「ペンライト等は両手に1本ずつ、1人2本まで」と注意事項に明記されています。片手に複数持つバルログ等はスターダスト(=ぶっ飛ばし)のリスクも高まりますし、ダメと言われたことはしないようにしましょう。
けれど、それらを適切に守って使うUOは、忘れられないライブ体験を与えてくれることでしょう。
「特別な瞬間に、ちょっと特別な贅沢を」
そんなプレミアムな気持ちで折るUOを、この夏に挑戦してみる。
経験があるのであれば改めて「楽しい」と思って折ってみる。
それも一興かと、強く推させて頂きます。
それでは皆様、楽しい夏のイベントライフを。
以下茶番。
「オタクへ。まよです。
あのあとアニサマ運営とお財布と、3人だけで話し合いました。
キンブレが出たこと、UOが多くの人に嫌われて(?)いること
ラブライブのために自粛して欲しいと言われていること
少し寂しく思いました。
でも私の答えは変わりませんでした。
私はやっぱり、UOであることにこだわりたい。
私はUOが好き。
推し曲のために、高まる瞬間のために、同じオタクが、この数万人が集まり
光量を競い合って、そして手を取り合っていく
ウルトラオレンジの光が好き」
────彼女達は言いました。
「わたし達はUOが好き…落ちサビの為に光り、推しの為に光り
お互いが競い合いそして手を取り合っていく…
そんな限られた時間の中で精一杯輝こうとするウルトラオレンジが大好き!」
と。
今しかない、瞬間だから。
だから……
「輝きたい!!!」