AQUARIUMと愛のうたをめぐる冒険

AQUARIUMと愛のうたをめぐる冒険

十六夜まよ(@daimarco16)がおんがくを考えるところです

約束。

──この話は、1人のオタクの面倒臭くて一方的で身勝手な、ひとつの約束のお話。

 

 

 

皆様こんばんは。十六夜まよです。

 

いよいよ明日に迫ったAqours 4th LoveLive! ~Sailing to the Sunshine~ですが、この開催地である東京ドーム。ここはまあ色々な人にとって色々な意味を持つ場所だと思います。

 

今回は、少しだけ自分のことを。

お目汚しになるかもしれませんが、ご了承頂ければ嬉しいです。

 

 

 

●伝説の終わりとオタク人生の終わり

 

2016年、3月31日と4月1日。

この時に東京ドームの舞台に立ったのは、一世を風靡した一組の声優アイドルユニット。

僕は当時、彼女たちのことが今のAqoursと同じくらい大好きで、きっとこの先こんなにコンテンツにのめり込むことはもうないのだろうなんて思っていました。

華々しく終わったアニメ2期。そして満を持して公開された劇場版。

現実世界でも彼女たちはその足跡を深めていき、紅白歌合戦への出場を果たし、ついには東京ドームでライブを開催するにまで至りました。

 

その、彼女たちの最初で最後の大舞台。

 

僕は、その日に仕事をしていました。

 

以前別の記事で触れたことがありますが、当時仕事上のトラブル(天候が関わる事故でしたね…)があり、誰が悪いというわけではなく職場の皆が仕事を長期間休めない状態になっていました。

強いて言うなら、運が悪かった。

 

たくさんの想いと、告げるはずの別れの言葉と、流すはずだった涙と。

そういった色々なものを置き去りに、僕の知らないところで彼女たちのファイナルライブは幕を閉じ、伝説となったそのグループは表舞台から姿を消しました。

 

あの時、オタクだった僕はきっと1度死んでいます。

 

そして、そんな僕を掬って/救ってくれたのがAqoursでした。

 

【余談】

「すくう」というアクション、僕はよくこのダブルミーニングを持たせて漢字変換を行います。
どうしようもない場所にいるところから、エネルギーを持って掬い上げる。
苦しい気持ちで沈んでしまった心へ光をもたらし救い上げる。

ラブライブ!の作中でよく、主人公が他の人物へ、時に逆に主人公へ、手を差し伸べたり強引に連れ出したりするその瞬間、確かに彼女たちは"すくわれて"いて、だからこそ絆が深まり、想いが繋がっていっているのだと、そう感じます。

友情や絆、もっと言えば運命や偶然の重なり。「見えない力」が働くとき、そこにはきっと「すくわれた」想いが渦巻き、繋がり、未来を紡いでいくのかな、なんて。

 

 

Aqoursが乗せてくれた船

 

閑話休題

そんな折に出会ったのがAqoursという存在でした。

正確には存在はもっと前から知っていたし、彼女たちの頑張りも傍目には見ていましたが、まだその時にはしっかりと追いかけていない、というくらいでした。

ファイナルを逃し、どうにも趣味に力が入らず、生気が抜けたような目で日々を送る。

無趣味って多分すごく危険な状態だったのではないかなと、今では思います。

惰性で買っていたCDも買った直後には開封せず、PCの横に放置するような状態で数ヶ月が経ち……。

何かの拍子にふと、たまにはラブライブの曲を聴こうか……なんていう思考で手に取った『恋になりたいAQUARIUM』のCD。僕の「救い」はこれでした。

 

何度かTwitter等で触れていますが、「別れ」や「終わり」を多く示唆した先代の後期の楽曲群が個人的に本当に苦手だった時期があり、それを受けて周りが「泣ける」とか「感動する」といった感想を口にする度に胃がもたれるような、よくわからない感情を抱えていました。

その想いはファイナル不参加でさらに深まり、CDを購入だけして聴かないような状態はその頃から始まっていたように感じます。

 

そんな陰鬱とした気持ちを吹き飛ばしたのがAqoursの楽曲。

無謀でパワフルで、辿々しいながらも始まったばかりの未来への希望を唄うその歌声は、心に吹く涼風として暗い気分を溶かしていきました。

 

君はなんども 立ち上がれるかい?

 

力強く問いかけるその言葉が。

 

信じてくれるかい?きっといつかは歌えるって

 

真摯に祈る、その愛のうたが。

 

届かないって決めないで 手を伸ばせ それから悩め!

 

無謀に駆け抜けるその背中が。

 

彼女たちのもたらした未来へ向かう風。

それが僕を掬い上げ、救ってくれた船出の風でした。

 

 

【余談】

うちの祖父は漁師をやっていました。自ら船を持ち、漁へ出る船頭でした。

今はもうこの世にはいないのですが、僕に多くのものを遺してくれた存在だったと思います。

厳しい人だったけれど、同じくらい愛情も感じられて。

何度かその祖父の船に乗せてもらい、漁へ出るのを見学したことがあります。

帆船ではないので風で進むわけではないですが、波に大きく影響するため風の存在はやはり大切です。

空気の密度の変化や湿り気、風の向き、鳥達の様子……。そういったものを全身で感じ、違和感があれば例え漁の調子が良くても引き返す。そういう風との付き合い方が自分たちには大切なんだと、そう話していた記憶があります。

風と上手に付き合い、船を出すときには追い風へ。

人生の中で何かしらの転換点があったり、勢いが変化する時に「風向きが変わる」なんていう言い方をする時もあります。

僕らの人生は、そんな風向きと付き合いながら進む、ひとつの航海とも言えるのかもしれません。

 

 

●約束

 

この先の話は本当に身勝手で、我儘なオタクの戯言。

 

Aqoursに、多くの可能性を感じて。

Aqoursに、暗かった気持ちをすくわれて。

Aqoursに、これから先も多くのものを見せて貰いたかったから。

 

Aqoursに、賭けました。

最初から追いかけていたわけではない、中途半端なオタクの賭けられるものなんて高が知れているので、とりあえず残りのオタク人生を賭けてみました。

きっとオタクとして僕が最期に推すグループ、それがAqoursなんだと。

 

その上でまだできることはあるんじゃないの?という言葉はもしかすると色々あるかも知れないですが、まあイベント全通や気合いの入ったフラスタ出したりとかだけが推しごとではないので、そのあたりは心構えの問題ということで……。

とにかく、自分が走りきった時に後悔が無いように。そういうつもりで全力を出そうと決めました。

 

後悔が無いように?

あの時みたいに?

 

結局今でも僕は引き摺っています。あの日の別れを、涙を、そこへ置きっぱなしにしています。

そして、その2年半越しの忘れ物を取りに行く船。

それが、その存在がAqoursなのだと、僕は勝手に定めて……。

 

自分が一生懸命彼女たちを応援して、誰にでも誇れるような人気と実力を兼ね備えて。

そうなった時に、きっと彼女たちはあの舞台へと僕を連れて行ってくれる。

だからそうなるように全力で応援しよう。

 

僕とAqoursとの、勝手で一方的な、約束。

 

当然、東京ドーム公演まで進むに至った航路の中で、僕の応援が意味を成している部分なんて一握りにも満たないでしょう。そんなことは解ってます。

だけれど、僕が今日まで真剣に彼女たちを好きでいたから、多くのことを考え、少しでも楽しくてユニークな解釈ができるように悩みぬいてきたから。彼女たちの笑顔を望んで、活動の中で多くの成長を得られるように願い続けてきたから。

寄り添い続けた想いの先に、少しだけ彼女たちがこちらへ向けてくれた愛情の一端である「10人目」という概念があり、だからこそ今僕は自信を持って言えるのです。

 

Aqoursが、僕の勝手な約束を叶え、果たしてくれた。

 

あの日忘れてきた大切な想い達を、大好きだよと素直に言える最高の人たちと一緒に、これから拾いに行くんです。

あの時にはいなかった、多くの仲間も今は横に並んでいて。

自信と誇りを讃えた背中で先頭に立つ9人は、とても頼れる存在になっていて。

 

だから僕は今回、Aqoursへの恩返しだとか、Thank you, FRIENDS!!に感謝を込めて!とか、そういった形の(敢えてそう表現しますが)「雑念」は挟まずに、果たしてくれた約束に存分に乗っかり、100%の信頼をもって全力で自分のために楽しもうと思っています。

これまで多くの想いを、情熱を向けてきたからこそ、十分なんてことは絶対にないですが……でも、僕が、もしかしたら僕だけは。

今度は、僕がAqoursから貰う番。

半分くらいはそんな傲慢な気持ちで。だって僕と彼女たちの関係はファンとキャストだから。

No.10という実態の見えない概念のような存在ではなく、十六夜まよという1人のファンとして、心の限りの応援と感謝を胸に秘めて、全力で楽しさを受け取ります。

置き去りにしてきた色々なものを全部取り戻して、だけれど終わった時には全力で笑っているために。

もしかしたら、僕は泣かずに2日間を終えるかも知れません。なんとなく、そんな予感がします。

 

光る風を受け、未来へのチケットをかざすその船に、客としてのんびりどっしりと構えて乗り込んでやろうかなと。そういう気持ちです。

 

どうです?めちゃくちゃ身勝手でしょう?

でもきっと最高。最強に当日僕は楽しいです。

 

 

●やっと手にしたMIRAI TICKET

 

ここまでが、4thへ向かう僕の想いと、ちょっとした過去と絡めての自分語りでした。

長々とお付き合い頂いた皆様、本当に有難うございます。

 

先日、Aqours紅白歌合戦への出場決定の報があり世間が沸き立っていましたが、その時に久々に見たMIRAI TICKETの衣装がとても印象的で、同時にその曲がずいぶんと頭に引っかかるようになりました。

 

「Sailing to the Sunshine」というタイトルと、タイトルロゴにあしらわれた一艘の船。

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「未来」「航海」「光る風」。

アニメ1期と2期を繋ぐ船であったこの曲は、今もう一段階上の意味を付与され、その先の未来へと向かう強固な大船へと変貌を遂げました。

同時に、作品に関わる本当に多くの人に取っての、それぞれの未来への船出を示す、「航路」や「そこへの切符」といった意味合いも感じられるものとなりました。

 

ドームに集まる5万人の、それぞれの人生という航路。

「太陽」を高く大きい目標や夢と捉えるならば、「Sailing to the Sunshine」はまさに夢への旅路、その船出です。

 

 

ちょっとだけ私事を。(いやこの記事は今までずっと私事を綴っていたのだけど)

夢と言えるほど強烈なものではありませんが、個人的に「2018年の目標」として掲げていた「関東への転職」を、先日やっと具体的に達成したと言えるレベルまで成し遂げました。

これから、新天地で新たな人生が始まるのだという実感。

このタイミングで僕の人生がそういった転換点を迎え、あらたな風が吹こうとしていること。

同時に、船出を示す大きな舞台が、2年半越しの約束と共にやってくること。

 

──全てに、意味がある。

 

偶然だとは思わずに、まずは明日明後日の大舞台を全力で楽しみ、精一杯Aqoursを応援して。

過去に置いてきた気持ちも忘れずに掬い上げて、今の気持ちにしっかりと添わせながら。

さらには自己の糧とするため、ここからの船出を盛大に祝う、祝砲として。

 

「過去」「現在」「未来」全ての時間軸に意味を持たせて、Aqoursを肯定し続けてきた僕の気持ち、Aqoursの頑張りが報われて彼女たちもまた良い笑顔でその先の未来を迎えられるように。

 

 

いよいよ明日からですよ!

 

東京ドームでの世紀の大舞台、全力で楽しんでいきましょう。

 

 

2018.11.16 十六夜まよ